やっぱ安いから?
最近何かと話題になるChromebook(クロームブック)、先日はグローバルシェアがMacより上、なんてニュースが流れてきて驚きました。Chromebookを選ぶ人がそんなにいるんだ、と。しかもWin/Macの優れた製品が多数あるにも関わらず、なんですよね。何かしらの良さが見いだされて買われているはずですが…どこがいいと思われてるんでしょう?
よくわからなかったので、いろんなChromebookを触ってみました。安いからぐっとくるというのは確かにあるんですが、Chromebook特有の使い勝手の良さもちゃんとあって、相乗効果で「Chromebookならではの良さ」ができあがっている印象です。
Chromebookはシンプルでわかりやすい
ChromebookとはGoogleが作ったOS(基本ソフト)「Chrome OS」が搭載されたノートPCのことです。触っていて思ったのは、Win/Macよりだいぶシンプルな作りだなということ。何をすればいいかで迷わないのがいいです。
Chrome OSはGoogleのブラウザ「Chrome」の動作に特化したOSで、Chromeだけでひととおりの仕事がこなせるデザインになっています。
Chromeを立ち上げる→ググったり、Gmailでメールを書いたり、Googleドキュメント/スプレッドシートで文書/表計算を作ったり、YouTubeで動画を観たりするのが基本。ぜーんぶChromeに集約されています。しかも、Gmailはメーラーとして高機能、Googleドキュメント/スプレッドシートではWord/Excelファイルも扱えます。おまけに無料。
使い方がシンプルで、とにかく敷居が下げられていると思います。これからノートPCデビューしたい人でもとっつきやすいでしょう。
「Win/Macでもやってることは同じ」という人も問題なく使えます。ぼく自身、Macを使っていますが、9割くらいはChrome上で作業をしているので、Chromebookにしても多くの作業はMac同様にこなせました(問題が出る部分もありましたが、それは後述)。
好みに合わせて多様な製品から選べる
モノとしてどんな感じかも紹介してみましょう。今回、編集部で2台のChromebookを購入して使っていたのですが、ぼくが主に使っていたHP Chromebook x360 13c(税込13万6400円)はこんな感じ。
作ったHPはWindowsノートPCのメーカーとして有名で、作りも同社製・同価格帯のWindowsノートPCと遜色ありません。Chromebookとしてはもっともハイエンドな部類の製品なだけあって細部までよく作り込まれています。キーボードなどの使い勝手もとてもいいです。ChromebookはAmazonセールで安く買えるという印象が強いかもしれませんが、こういう製品もあったりします。
Chromebookはデザインや仕様をよく確認して購入したほうがいいです。WindowsノートPCのように多様な製品があり、1台1台個性が異なるからです。1つのデザインを共有し、根本的な使い勝手には差がないMacBookとは決定的に異なる存在とも言えます。
ふつうのノートPCタイプのものもあれば、このHP Chromebook x360 13cのように2-in-1タイプでSIMが入る(テザリングなしでネットにつなげられる)仕様でカジュアルユース/モバイルにも向いた作りのものもあります。以前紹介した4万円Chromebookのように小型でタブレット的にも使える、というピーキーな製品さえもあります。
一部Win/Macを使ったほうがいい作業がある
使いながら「クリエイティブ系の作業などはWin/Macでやったほうがラクだ」と思いました。Chromebookで動作するアプリは原則Android用という仕様が原因です。
たとえばぼくの場合、取材時にデジカメで写真を撮りますが、多くの人に見てもらうためには写真を調整してPCやスマホでも閲覧できるファイル形式に変換する現像という作業が必要になります。
そのためにLightroomというAdobeのソフトを使うのですが…ChromebookだとAndroid版のLightroomを使わないといけません。でも、Android版Lightroomは簡素化されていて機能が少なく、できることの幅が狭いです。UIもPC向けに最適化されておらず、作業能率も下がりました。これはMacでやりたいなと。
こんな風に具体的に「このアプリ」を使わないといけないというのがあって、しかもそれがAndroid用アプリだと困るという人は、最初からWin/Macを選び、使いたいアプリをきっちり使ったほうがいいでしょう。クリエイティブな仕事をしているとか、何かしらの趣味のハイアマチュアであるとか、専門的なソフトが研究室で必要になる学生さんなどが該当するはずです。
逆から見れば、そういったアプリが特にない、一般的な事務作業やWebブラウジングが中心ならChromebookで特に問題は出ない、ということにもなります。
動作するAndroidアプリ自体はいろいろあるので、「たまに写真をレタッチしたい」みたいなときに困ることはありません。安く買えて知識がない人でも使いやすいソフトが多いうえ、スマホ感覚でアプリストアで見つけられるのでとっつきやすいまであります。
8万円Chromebookにぐっときた理由
今回いろんなChromebookを触ってみたのですが、いちばんいいなと思ったのは編集部で購入したChromebookのもう1台、Acer Chromebook Spin 713(税込8万820円・購入時)です。モバイル用のサブマシンを新調したいと思っているのですが、ニーズにぴったりだなと。
その理由をよく考えてみると、自分がノートPCに10万円も出したくないと思っていることに気づきました。以前より外出して仕事をする機会が減っているので、出番はそこまで多くなく、多少使い勝手が落ちたとしても妥協できます。その分安くしたい。
コスト意識をもって見ていたからこそ、この8万円Chromebookの良さに気づけた気がします。
WindowsノートPCの有名メーカーのひとつ Acerが作っていてデザインもキーボードの使い勝手などもしっかりしています。性能もHPの13万円Chromebookに比べて体感差がありません(ベンチマークにかけると内部スペックなりの差がありましたが)。ふだん快適に使えているMacBook Pro 16インチ(約27万円)と比べても動作速度で大きく劣る感じではありません。
新品8万円で買えるMacBookはなく、競合するのは同価格帯のWindowsノートPCになります。Windowsには豊富なソフトがあり、活用することでとても便利に使えますが…サブマシンにそこまでしたくありません。買って即使えるChromebookのほうがむしろ合います。
必要最低限ではなく必要十分な快適さがあり、かつ差別化もされている。何より予算内です。いい製品がすでにChromebookにあって予算重視で探しても出会えるというのは、ハイエンドなWin/Mac中心に選んできた自分には新鮮な体験でした。
Win/MacよりChromebookが輝いて見える条件
ChromebookがWin/Macによりいいと思えるには、ふたつの条件があるように思います。
ひとつは予算がヒトケタ万円台であること、コストから買うノートPCを絞り込みたい人に刺さるでしょう。10万円を超えるとWin/Macのスタープロダクト(M1 MacBook AirやSurface Pro 7など)に手が届いてしまいますが、予算ヒトケタ万円台だとこういった製品に手の伸ばすのは心理的に厳しく(予算8万円と考えている人が税込11万5200円のM1 MacBook Airを買うには、予算を3万5000円も増やす必要があるのです)、予算内で快適さを確保しているChromebookは有力な選択肢になります。
もうひとつはWindowsの「さまざまなソフトウェアを活用すれば超便利」という利点が微妙に感じられること。「新しいノートPCが欲しいけどたまに使う程度」「パソコン初心者だ/詳しくないから買ってきてそのまま使えるほうがいい」と思っているなら、Chromebookは相性が良いはずです。サブマシンとしてもいいでしょう。
もっと安いChromebookも気になる
今回あれこれ触っていて気になり出したのが5〜7万円のChromebookです。店頭展示品に触れたくらいでこの価格帯の製品はしっかりはチェックできていないのですが、廉価なCPU(Celeronなど)が採用されているなどして、動作の快適さでは今回使っていたHPやAcerの製品(ともにCPUは第10世代Intel Core i)に負ける印象でした。
とはいえ、毎日ハードに使うのでないなら、ストレスになるほどでもないように感じました。以前触った4万円Chromebookでも仕事はできたくらいですから、おそらくはこの価格帯でも大きな問題はでないんじゃないかと思います。
からの記事と詳細 ( Macより売れてる。Chromebookって何がいいの? - GIZMODO JAPAN )
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科学&テクノロジー
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