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Wednesday, March 17, 2021

Intelがデスクトップ向け「第11世代Coreプロセッサ」(Rocket Lake-S)を発表 クロック当たりの性能向上+AI処理を強化:Core i3は第10世代で据え置き(1/2 ページ) - - ITmedia

juraganluempang.blogspot.com

 Intelは3月16日(米国太平洋時間)、デスクトップ向けの新型CPU「第11世代Coreプロセッサ(開発コード名:Rocket Lake-S)」の詳細なラインアップと、デスクトップ向けCPU「第10世代Coreプロセッサ(開発コード名:Comet Lake-S)」の追加ラインアップを発表した。

第11世代Coreプロセッサ(Rocket Lake-S)

Rocket Lake-Sの特徴

 デスクトップ向け第11世代Coreプロセッサは、先代製品と同じ14nmプロセスを採用しつつ、先行投入されたモバイル向け製品(開発コード名:Tiger Lake)の技術を取り入れることで性能の底上げを図ったことが特徴だ。

 CPUコア(開発コード名:Cypress Cove)は、IPC(クロック当たりの実行可能命令数)が最大で19%向上している。合わせて、機械学習ベースのAI(人工知能)処理を高速化する命令セット「Intel Deep Learning Boost(AVX512/VNNI)」をサポートした。

 統合GPUは「Intel UHD Graphics」だが、中身がXeアーキテクチャに一新され、描画パフォーマンスが最大で約1.5倍に引き上げられた。GPUのモデル名は、実行ユニット(EU)が24基のものが「Intel UHD Graphics 730」、32基のものが「Intel UHD Graphics 750」となる。

第11世代Coreプロセッサ(Rocket Lake-S) 第11世代Coreプロセッサ(Rocket Lake-S)の概要
Tiger Lake 14nmプロセスを維持しつつも、Tiger Lakeで採用された技術を取り入れることで性能向上を果たした

 他の主な新機能や改善点は、以下の通り。

  • CPU直結のPCI Express 4.0バスを用意(最大20レーン)
  • DDR4-3200メモリのサポート
  • メディアのデコード/エンコード性能の向上
  • オーバークロック機能の改善(後述)
  • Resizeable BARのサポート

 CPU直結のPCI Express 4.0バスは、外部GPU(16レーン)とSSD(4レーン)で利用できる。他のデバイスについては、チップセット側のPCI Express 3.0バスで接続することになる。

チップセットは「Intel 500シリーズ」に対応

 Rocket Lake-Sは、「Intel 500シリーズチップセット」を搭載するマザーボードで動作する。同シリーズのチップセットを備える既存のマザーボードでも動作するが、事前にUEFI(BIOS)を更新しなければならない場合もあるので注意しよう。

 Intel 500シリーズチップセットの主な特徴は以下の通りとなる。

  • USB 3.2 Gen 2 x2のサポート
  • DMI Gen 3.0 x8のサポート
  • CPU直結のPCI Express 4.0バスのサポート(※1)
  • メモリのオーバークロック機能(一部チップセットでサポート、後述)
  • Wi-Fi 6E(6GHz帯のIEEE 802.11ax)のサポート(※2)
  • Thunderbolt 4のサポート(※3)

(※1)第11世代Coreプロセッサと組み合わせた場合のみ
(※2)別途「Intel Wi-Fi 6E AX210 (Gig+)」を搭載した場合。ただし、記事掲出時現在、米国を除く国/地域ではWi-Fi 6Eを利用できない
(※4)別途「Intel JHL8540」(Thunderbolt 4コントローラー)を搭載した場合

チップセット デスクトップ向け第11世代Coreプロセッサは、Intel 500シリーズチップセットを搭載するマザーボードで稼働する

 Rocket Lake-SとIntel Z590/H570/B560チップセット搭載マザーボードを組み合わせた場合、Windows用ソフトウェア「Intel Extreme Tuning Utility」を使ってメモリをオーバークロック動作させられるようになっている。アンロック機能のないCPUでも「オーバークロック体験」ができるという。

オーバークロック Intel 500シリーズチップセット用のIntel Extreme Tuning Utilityは、Rocket Lake-Sと組み合わせると新しいオーバークロック機能を利用できる
メモリのオーバークロック Rocket Lake-SとIntel Z590/H570/B560チップセットを組み合わせると、CPU側にアンロック機能がない場合でもメモリをオーバークロック可能だ

パフォーマンスは着実に向上

 先述の通り、Rocket Lake-SはIPCの向上によりComet Lake-Sから着実な性能向上が図られている。Intelが実施したベンチマークテストでは、両プロセッサの最上位モデル(Core i9-11900KとCore i9-10900K)同士の比較において、3Dゲームのフレームレートが3〜10%向上したという。動画編集アプリやオフィスアプリなど、作業におけるパフォーマンスも改善しており、特にDeep Learning Boostに対応する動画編集アプリでの性能向上は目を見張るものがある。

 これは、売れ筋モデル同士の比較(Core i5-11600KとCore i5-10600K)でも同様の傾向だ。

ハイエンド比較 Core i9-11900Kでゲームをプレイすると、フレームレートがCore i9-10900K比で3〜10%向上するという
ハイエンド比較 ワークロード(作業の負荷)では、Deep Learning Boostに対応するアプリでは非常に大きな差が付く
売れ筋比較 売れ筋であるCore i5-11600KとCore i5-10600Kの比較でも、ゲームにおけるフレームレートの改善が確認された
売れ筋比較 ワークロードの作業パフォーマンスもCore i5-11600Kの方が良い

 一方、Intelは競合のAMDが発売しているデスクトップ向けRyzen 5000シリーズのハイエンドモデルであるRyzen 9 5900X(3.8GHz〜4.8GHz、12コア24スレッド)とCore i9-11900Kの比較も行っている。単純なコアとスレッドの数ではRyzen 9 5900Xの方が1.5倍多いものの、実際のゲームやワークロードのパフォーマンスでは勝っているという結果が示された。

 ただし、アプリのパフォーマンスは、CPU(やGPU)への最適化具合にも左右される。あくまでも、参考にとどめておくことをお勧めする。

ゲーム Core i9-11900KとRyzen 9 5900Xのフレームレート比較。Core i9-11900Kが優位に立っている
実アプリ ワークロード比較では、Deep Learning Boostに対応するアプリにおけるCore i9-11900Kの優位性が高い。言い換えれば、パフォーマンスにおいてアプリの最適化に助けられている面もあるということでもある

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Rocket Lake-Sは「Core i5」以上

 記事執筆時点において、Rocket Lake-Sは「Core i5」以上のクラスに投入される。具体的なラインアップは以下の通りとなる。ブースト(最高)クロックの記載は、当該CPUが備える機能を最大限活用した場合の前の数値が1コア時、後ろの数値が全コア時のものとする。

モデル名、TDP(熱設計電力)と最高クロックの記載について

 CPUのモデル名末尾にあるアルファベットは以下の意味を持つ。

  • K:アンロック(CPUのクロック倍率の変更)に対応
  • F:内蔵GPU非搭載(別途GPUが必要)
  • T:省電力モデル(通常モデルよりも発熱が少ない)

 Rocket Lake-SとComet Lake-SのTDP(熱設計電力)は、以下のように設定されている。

  • Kの付くCPU:125W
  • Tの付くCPU:35W
  • その他:65W

 ブースト(最高)クロックの記載は、当該プロセッサの備えるブースト機能を最大限利用した場合の値とし、前段にはシングルコア時、後段にはマルチコア時のものを表記する。


Core i5プロセッサ

 GPU内蔵モデルのうち、「★」が付いているものはUHD Graphics 730を、付いていないものはUHD Graphics 750を搭載している。米国における1000個発注時の参考価格は157〜262ドル(約1万7000〜2万8600円)となる。

  • Core i5-11400(2.6GHz〜4.4GHz/4.2GHz、6コア12スレッド、12MBキャッシュ)★
  • Core i5-11400F(2.6GHz〜4.4GHz/4.2GHz、6コア12スレッド、12MBキャッシュ)
  • Core i5-11400T(1.3GHz〜3.7GHz/3.3GHz、6コア12スレッド、12MBキャッシュ)★
  • Core i5-11500(2.7GHz〜4.6GHz/4.2GHz、6コア12スレッド、12MBキャッシュ)
  • Core i5-11500T(1.5GHz〜3.9GHz/3.4GHz、6コア12スレッド、12MBキャッシュ)
  • Core i5-11600(2.8GHz〜4.8GHz/4.3GHz、6コア12スレッド、12MBキャッシュ)
  • Core i5-11600K(3.9GHz〜4.9GHz/4.6GHz、6コア12スレッド、12MBキャッシュ)
  • Core i5-11600KF(3.9GHz〜4.9GHz/4.6GHz、6コア12スレッド、12MBキャッシュ)
  • Core i5-11600T(1.7GHz〜4.1GHz/3.5GHz、6コア12スレッド、12MBキャッシュ)
Core i5プロセッサのラインアップ Core i5プロセッサのラインアップ

Core i7プロセッサ

 Core i7プロセッサは、ブースト耐性の一番高いコアのブーストクロックを100MHz引き上げる「Intel Turbo Boost Max Technology 3.0(TBT 3.0)」に対応している。GPU内蔵モデルは、全てUHD Graphics 750を搭載する。米国における1000個発注時の参考価格は298〜399ドル(約2万6000〜4万3500円)となる。

  • Core i7-11700(2.5GHz〜4.9GHz/4.4GHz、8コア16スレッド、16MBキャッシュ)
  • Core i7-11700F(2.5GHz〜4.9GHz/4.4GHz、8コア16スレッド、16MBキャッシュ)
  • Core i7-11700K(3.5GHz〜5.1GHz/4.6GHz、8コア16スレッド、16MBキャッシュ)
  • Core i7-11700KF(3.5GHz〜5.1GHz/4.6GHz、8コア16スレッド、16MBキャッシュ)
  • Core i7-11700T(1.4GHz〜4.6GHz/3.6GHz、8コア16スレッド、16MBキャッシュ)

Core i9プロセッサ

 Core i9プロセッサはTBT 3.0に加えて、排熱性能や電源供給に余裕のある場合にブーストクロックをさらに100MHz上乗せする「Intel Thermal Velocity Boost(TVB)」にも対応している(省電力モデルを除く)。TVBはマルチコア時も有効だ。GPU内蔵モデルは、全てUHD Graphics 750を搭載する。米国における1000個発注時の参考価格は422〜539ドル(約4万6000〜5万9000円)となる。

  • Core i9-10900(2.5GHz〜5.2GHz/4.7GHz、8コア16スレッド、16MBキャッシュ)
  • Core i9-10900F(2.5GHz〜5.2GHz/4.7GHz、8コア16スレッド、16MBキャッシュ)
  • Core i9-10900K(3.5GHz〜5.2GHz/4.8GHz、8コア16スレッド、16MBキャッシュ)
  • Core i9-10900KF(3.5GHz〜5.2GHz/4.8GHz、8コア16スレッド、16MBキャッシュ)
  • Core i9-10900T(1.5GHz〜4.9GHz/3.7GHz、8コア16スレッド、16MBキャッシュ)
Core i7/i9プロセッサのラインアップ Core i7/i9プロセッサのラインアップ

「Core i3」以下はComet Lake-Sを改良

 一方、「Core i3」以下のクラスについては、前世代のComet Lake-Sアーキテクチャに基づく新製品が投入される。GPU内蔵モデルのうち、★印の付いているものは「Intel UHD Graphics 610」(EU12基)、付いていないものは「Intel UHD Graphics 630」(EU24基)を搭載している。

  • Pentium Gold G6405(4.1GHz、2コア4スレッド、4MBキャッシュ)★
  • Pentium Gold G6405T(3.5GHz、2コア4スレッド、4MBキャッシュ)★
  • Pentium Gold G6505(4.2Hz、2コア4スレッド、4MBキャッシュ)
  • Pentium Gold G6505T(3.6Hz、2コア4スレッド、4MBキャッシュ)
  • Pentium Gold G6605(4.3Hz、2コア4スレッド、4MBキャッシュ)
  • Core i3-10105(3.7GHz〜4.4GHz/4.2GHz、4コア8スレッド、6MBキャッシュ)
  • Core i3-10105F(3.7GHz〜4.4GHz/4.2GHz、4コア8スレッド、6MBキャッシュ)
  • Core i3-10105T(3GHz〜3.9GHz/3.6GHz、4コア8スレッド、6MBキャッシュ)
  • Core i3-10305(3.8GHz〜4.5GHz/4.3GHz、4コア8スレッド、8MBキャッシュ)
  • Core i3-10305T(3GHz〜4GHz/3.7GHz、4コア8スレッド、8MBキャッシュ)
  • Core i3-10325(3.9GHz〜4.7GHz/4.5GHz、4コア8スレッド、8MBキャッシュ)
Comet Lakeたち Pentium Gold/Core i3プロセッサのラインアップ

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