兵庫県洲本市で17年前に発見された化石は新種恐竜のものだった――。27日付の国際学術誌に論文発表した県立人と自然の博物館(三田市)などの研究チームは「国生み神話」の舞台である淡路島にちなみ、新種の草食恐竜を「ヤマトサウルス・イザナギイ」と命名。最初に化石を発見した姫路市の岸本眞五さん(72)も県庁で開かれた記者会見に臨んだ。
化石発見の経緯などを説明した岸本さんは、会見後の取材で「一度聞くだけで淡路の恐竜とわかる名前を付けてくれて、感謝の気持ちでいっぱい」とうれしそうに話した。
高校時代から化石採集をライフワークにしている愛好家に〈運命の出会い〉が訪れたのは2004年5月2日夕。アンモナイトの化石を見つけようと、洲本市で海の堆積(たいせき)物がある白亜紀最末期(約7200万年前)の地層を発掘した時だった。
割れた岩肌から出てきた見慣れない化石。目を凝らすと、恐竜の歯のような形があった。「大発見かもしれない」。膝がガクガク震えた。その後、同博物館との追加調査で計23点の化石が見つかった。
「まさか、海の地層から恐竜が見つかるなんて。当時の通説を覆すものだった」と振り返る岸本さん。チームの北海道大総合博物館・小林快次(よしつぐ)教授も「海の地層から化石が見つかるケースはまれ。アマチュアの化石コレクターの協力があってこそ。海のそばにいた恐竜の暮らしを描けそうだ」と感謝する。
ヤマトサウルスは、カモのようなくちばしを持つ草食恐竜「ハドロサウルス科」でも原始的なもの。洲本市立淡路文化史料館の金田匡史館長(42)は「夏にも、ぜひ実物を子どもたちに見せたい」と歓迎している。
化石は5月12日~7月11日、県立人と自然の博物館で展示される(新型コロナウイルスの感染状況によって変更する場合がある)。問い合わせは同博物館(079・559・2001)。
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