エルメスとデロタルは、その正当性を求めて、自分たちがもっとも得意とするハイデザインに目をつけた。最初にヒットさせたのは、カチカチという音が、指定された時間だけ「停止」する「アルソー タンシュスポンデュ」だった。このアイデアでエルメスは2011年、ジュネーブ時計グランプリ(Grand Prix d'Horlogerie de Genève)の最優秀メンズウォッチ賞を受賞した。
しかし、エルメスの躍進はニコが購入した「H08」によるところが大きい。昨年のWATCHES&WONDERS(以下 W&W)で、エルメスはこのスポーティな新作を発表し、瞬く間に話題となった。正方形でもなく、円形でもないケースと、サファリでも使えるような頑丈な外観。「H08」のような時計はほかにはない。
エルメスがメンズウォッチを作りはじめてから10年、競合他社に比べれば、まだまだ発展途上の感がある。スポーツウォッチといえば、パテック フィリップの「ノーチラス」、ロレックスの「デイトナ」、オーデマ ピゲの「ロイヤルオーク」などが代表的な存在だ。「『ロイヤルオーク』のような成功を収めたいものです」とデロタルは切々と語った。
高級革製品やスカーフで知られるエルメスが、なぜこれほどまでに頑丈なものを作り上げたのか。それは、エルメスのコードを少し修正することによって実現した。デロタルは、これが典型的なエルメスのデザインではないことを認めて、こう言った。「新たなシグネチャーとなるものを探したかったのです」
そのためにエルメスは、デザイン性の高いファッションメゾンであるという、競合他社に対する最大の強みを発揮した。「エルメスには16のメティエがあります。それらを有効活用し、混ぜ合わせることが可能なのです」と、以前は時計メーカーであるパテック フィリップで働いていたデロタルは語る。
からの記事と詳細 ( 非専業メゾンの高級時計が、いまコレクターに支持される理由とは?──エルメス「H08」ができるまで - GQ JAPAN )
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