Pages

Wednesday, May 4, 2022

MZ世代が描く、新しい美術市場の人気の秘訣とは - The Korea Economic Daily Global Edition

キム・ソンウ画家の「パラダイス」
キム・ソンウ画家の「パラダイス」

「ペイントが乾く前に売られている」

韓国内での美術市場は近頃、MZ世代を「ゲームチェンジャー」と呼んでいる。株・仮想コイン・不動産投資などで大金を儲けたMZ世代が美術市場に興味を示したことから「取引市場のルール」がオフラインからオンラインへ、素早く切り替わっているからだ。ギャラリーの位置もソウルの三清洞( サムチョンドン )から裕福なMZ世代の舞台となる清潭洞( チョンダムドン )と漢南洞( ハンナムドン )へ変わった。業界では「若いコレクター」が次から次へと増え、昨年まで9000億ウォン規模であった韓国内での美術品取引金額が今年1兆ウォンの壁を破る可能性があるとみている。

美術市場の参加者はコロナ禍の影響により大きく変わった。長年ギャラリーのVIPたちが主導してきた業界に、2年前から20~40代の若い世代が入り込み始めたのだ。ソウルオクションの正会員新規加入者数は2019年の2624人から、昨年1万738人へと5倍以上増えた。昨年の新規加入者の68%は20~40代だった。

新規コレクターの職業群も変化した。高額の資産家や専門職から情報技術業界(IT)従事者と株投資者へと移り変わった。芸術経営支援センターの関係者によれば、IT業界とスタートアップ、オンラインショッピングモール従事者が昨年の新規コレクターの割合の半分を占めていた。そのほか、弁護士、医師などの従来の専門職(32.1%)、株投資などの金融業(30.4%)、芸能人(14.3%)、不動産関連業(10.7%)が続いた。

MZ世代のコレクターたちは作家と絵の情報を収拾する経路も異なっている。オンラインコミュニティー、SNSを通じて情報を収拾するという新規コレクターが半数を超えている。

彼らが取引市場に参加し始めたことで、2年前まで10%程度でとどまっていたオンライン応札の割合は20~30%に上がった。昨年のオンライン取引市場の取引金額は550億ウォンで、4年ぶりに5.5倍成長した。

ギャラリーの位置も変わっている。仁寺洞( インサドン )や新沙洞( シンサドン )、平倉洞( ピョンチャンドン )を離れて、江南と接している清潭洞と漢南洞など、「江南時代」本格化している。多国籍ギャラリーがその変化を主導した。昨年「タデウス・ロパック」、「フェイス・ギャラリー」、「リーマンマフィン」が漢南洞に進出、移転した。「KÖNIG SEOUL」や「グラッドストーン」、アジア最大級の画廊である「Tang Contemporary Art」は清潭洞に新しく画廊を開いた。今年はドイツやスイス、米国の有名画廊もソウルへ新しく進出する予定である。不動産コンサルタント会社のクッシュマン・アンド・ウェイクフィールドのナム・シング理事は「清潭洞と漢南洞は有名ブランドとギャラリーなどが集中しており、3年後の契約まで現在全て埋まっている状況」と伝えた。

2008年以降、10年近く苦戦していたアーツフェアも昨年から黒字に切り替わった。今年の9月には世界のトップアーツフェアである「Frieze」もソウルで開催される予定である。業界で今年の韓国国内での美術品の取引額が1兆ウォンを越えると分析しているのも、このような背景からである。

MZコレクターたちは、同時代のMZ世代の作家に興味を持っている。従来の美術界が画廊と競売を中心に行われた一方、MZコレクターたちはアイドルのファンダムのように、推しの作家を作り、彼らとコミュニケーションをとりながら投資活動を行う。

「ドードー鳥の作家」で有名な1988年生まれの画家キム・ソンウさんはMZコレクターたちにより人気作家となった代表的なケースである。2019年5月、ソウルのオクション競売にて540万ウォンで売られていた彼の作品は、昨年9月に行われたオクションでは1億1500万ウォンで落札された。2年ぶりに20倍も高く売られたのである。「ドードー鳥」の連作は「売り切れて売れない作品」となった。ウ・グクウォン、ムン・ヒョンテ、ハ・テイムなどの韓国の作家の他にも、日本の奈良美智さんの作品もそうだ。

状況は韓国のみならず、海外でもそうだ。アートバーゼルとUBSによれば、高額資産家コレクター2600人のうち、56%が40代以下。昨年のクリスティーの新規顧客の31%がミレニアル世代だった。こうした傾向を反映し、海外のギャラリーもオンラインマーケティングを強化している。

一部ではこうした現象がバブルにすぎないとみているが、韓国国内の美術市場の規模はGDP対比0.02%程度であることから、これからも成長可能性がある分野と解釈する専門家も多い。先進諸国での美術市場の規模はGDP対比0.1~0.2%だ。

 
記者 キム・ボラ destinybr@hankyung.com

Adblock test (Why?)


からの記事と詳細 ( MZ世代が描く、新しい美術市場の人気の秘訣とは - The Korea Economic Daily Global Edition )
https://ift.tt/E4MBakK

No comments:

Post a Comment