「スナイパー」とは、遠距離から銃などで目的物を狙い撃つ、狙撃手のことです。日本は銃社会ではないので、銃に触れる機会はあまりなく、人前で何の気兼ねもなく銃を撃てるのは、開催の延期が発表された東京オリンピックの競技にもなっているクレー射撃くらいかと思います。クレー射撃では、ターゲットとなる標的物はクレーなので、弾が当たればクレーが砕けて爽快感を得られるのですが、「スナイパー」が狙うべきターゲットは人なので、弾がヘッドに当たれば……あとはお察しください。
過去に発売された「スナイパー」の付くゲームは軒並み「狙撃」で「暗殺」することが重視されているのですが、ただ安閑と安全地帯から狙撃をするわけではなく、戦場を駆け巡り、敵に見つかってしまったときには直接的な攻撃も厭わず、他の戦争系のゲームと同様の銃撃戦が勃発することも多々ありました。昨年リマスター版が発売された「スナイパーエリート V2」にしても、一度敵に見つかってしまったら、スコープを覗いて冷静に戦うことなどできません。
冷静沈着かつ丁寧な行動が問われる「スナイパー」のお仕事を、ステルス行動ができない好戦的な人間がプレイしたらどうなってしまうのか、そんな興味に誘われながら、お借りした「スナイパーゴーストウォリアーコントラクト」をプレイすることにします。
1.狙撃手の心得を学んで30分経過
2.マスクの恩恵を受け2時間半経過
3.ひたすら突き進んで7時間経過
4.プロの自覚が芽生え10時間経過
5.そして、まとまらないまとめ
狙撃手の心得を学んで30分経過
戦争系のゲームといえば、暗いイメージが強いのですが、今作においてはパッケージの時点で白さが目立っています。タイトル画面も同様に白さが目立つ画面でした。
しかし、いざゲームに入ると暗い場面が多いのではないかと予想して、今回はマックス明るい状態に設定してみました。
ゲームのタイトルからわかるように、プレイヤー自身は「スナイパー」、すなわち「狙撃暗殺者」なのですが、タイトルに「コントラクト」とあるように「契約」に基づいて行動しており、つまりは「傭兵」の立場でミッションをこなしていくことになります。
ゲームの舞台は、かつて「ロシア連邦」の一部だった「シベリア共和国」ということなので、史実であれば約100年前の出来事だけど、ビジュアル演出はサイバーっぽく、一種のファンタジー世界に放り込まれたような感覚に襲われます。
プレイヤー自身は「シーカ―」と呼ばれ、だいぶお堅い表情の人物のように見えます。
オープニングの演出が終わると、全体マップが表示され、どうやら6つの「契約」があることがわかります。
最初に選べるのは「バジキト実験場」だけで、契約詳細を見ると実行すべき内容が「チュートリアル完了」のみなので、実質的な契約は5つと見て問題ないでしょう。
契約を開始すると、「射手」「スナイパー」「射撃の名手」の3項目が表示されるのですが、どうやらこれは難易度のようです。「スナイパー」が標準な難易度で、「射手」はダメージが軽減されて敵の数が減り、敵に感知されにくくなり、「射撃の名手」はダメージが大きく、発見されやすいようになっているため、当然ながら一番難易度の低い「射手」を選んでおきます。
最初の契約内容はチュートリアルなので、舞台は訓練施設。ここでは、「ハイテクマスク」の使用法や調整を行うとのことなので……あのお堅く見えた表情そのものが「マスク」だったのですね。ともかくトレーニングが開始されます。
屋根がなく、かなり開放感のある廃墟のような場所に佇む「シーカ―」の姿を確認したいところですが、ファーストパーソンシューターゆえに、「シーカ―」のお堅い表情を確認することはできません。その代わりに、「マスク」の効果か、関与できる何かがあると「ライフルを入手」のように表示されるようです。
あからさまに、ライフルを入手しなくてはならないのですが、とりあえず周辺をふらふらと歩いてみると、壁に近づいたときに、目の前のモノを触るような手の動きが見られました。
しばらく放置していた「ライフル」に近づいてみると、「□拾う」と表示され、関与できる対象があるときにはボタンのナビゲーションがあることが確認できました。
武器を拾い上げると、視界にしっかりと持っている武器が表示され、画面右下にはトータルの弾数とセットされている弾数が表示されるようになりました。
射撃位置に移動すると、姿勢についてのチュートリアルがあり、立ち、しゃがみ、伏せの3姿勢があることが分かります。画面右下に現在の姿勢が表示されています。
姿勢を伏せ撃ち状態にすると、双眼鏡を使うように促されます。
実際に双眼鏡を使って戦場を見渡し、枠内にターゲットを入れると、マーキングをすることができました。
射撃体勢に入って、スコープを通してターゲットを見てみると、頭上に距離が表示されました。これで照準を合わせて撃てばいいように思うのですが、照準が動いてしまいます。現在、伏せ撃ち状態なので、照準の動きは小さいのですが、しゃがみ状態や立ち状態で射撃体勢に入ると、照準がさらに激しく動くことが確認でき、「スナイパー」として大事なことを着々と学んでいくことになります。
100m程度の距離であれば、あまり厳密に照準を合わせなくてもどうにかなるのですが、ターゲットが離れていると、風と距離の影響を受けてしまうため、スコープ射程距離の調整を厳密に設定した上で、弾道を見越した場所に照準を合わせる必要があることがわかります。何も設定せずにヘッドに照準を合わせて撃ったら全然違うところに弾が飛んで行ってしまうし、このターゲットが人間だったら、完璧にバレてしまいます。
その後もチュートリアルをこなして、試行錯誤を終わらせると、30分が経過していました。
マスクの恩恵を受け2時間半経過
チュートリアルを終えると「アルタイ山脈」がアンロックされたため、「アルタイ山脈」に挑戦します。
今回は訓練ではなく本番なので、契約内容は詳細にわたり、「契約」以外に「チャレンジ」の内容もいろいろと用意されています。
難易度については語るまでもなく「射手」を選び、生物兵器の試験を行っている「アルタイ山脈」に潜入し、PC上の情報の取得、ウイルスの発見、将軍の暗殺など、多岐にわたるミッションをこなしていくことになります。
「アルタイ山脈」に着くと吹雪の中を突き進んでいきます。
一応、オープンワールド的なマップを探索するのですが、地形的に行ける範囲が限られているため、まだまだチュートリアルの延長といったところでしょうか。ファーストパーソンだと、精密さが求められる移動が難しい印象があるのですが、ダッシュやジャンプは比較的快適に行うことができ、崖に向かってジャンプをすると、崖に手を引っ掛けてクライミングをすることができました。
何やら大きな建物が建ち並び、行き止まりになってしまったようです。
こんな時でもマスクモードを使うことで、手を引っ掛けて登れる場所が視覚的にわかるようになっています。
立った状態だと通れない場所があれば……。
しゃがめば通り抜けることができます。
物陰に隠れて静かに行動していると、目の前に敵を発見。
背後から近接制圧をすることで、尋問……あっ!
情報は何も得られなかった代わりに、アイテムだけでも回収しておきましょう。
死体は担ぐことで、人の目のつかないところに移動することができます。
そして、ここまでの知識を総動員して、3人の兵士を前にして最終テスト。
敵を分散させつつ、一人ずつ順番に始末していくことになるのですが……。
このようにして、「スナイパー」とはいえ、単なる銃撃戦をくり広げられることを(結果的に)確認できました。
ここでやっとのことで狙撃用の銃を入手。
先のチュートリアルを試すべく、動く敵に対して望遠鏡を使ってマーキングしていきます。
そして、巧みにヘッドショットを狙って銃を撃つと、弾丸カメラが発動され、スローで迫力の狙撃シーンを楽しむことができます。
これぞ、「スナイパー」といったところでしょうか。
ここでバレずに一人残らず狙撃を成功させられればいいのですが、実際のところ、バレバレの中での狙撃で一通り倒すことになり、装置を破壊することでミッションを達成することができました。
チェックポイントに到着すると、データがアップロードされ、脱出に成功したことになります。
これで一連の流れを把握したことになり、本格的に戦場へと足を踏み入れていくことになるのですが……おっと。
氷かと思って足を踏み入れた先が川だと、一気に体力を持っていかれるので注意が必要です。
マップを確認すると、赤い丸でプレイヤーの位置、赤い三角でプレイヤーの向いている方向が確認できます。また、青枠がそれぞれのミッションに関係ある施設のようです。それ以外にも細かい情報が表示され、マーキングをすれば敵の姿もこのマップに表示されます。
今度こそオープンワールドが始まっているので、ある程度移動が自由になります。目の前の敵に対して、草むらに隠れながら近づいていき、背後から近接攻撃を決めることができますし、正面から銃をぶっ放すこともできます。
当然ながら、雪道の真ん中に寝転がって、スコープを覗き込んで狙撃することもできます。寒そうですが……。
敵が一人だとわかり切っていれば、対処するのは簡単なのですが、何人いるかわからないのが戦場になります。こんなリアルな戦場で、敵を見つけるたびに倒しながら足を進めるのは無謀だったのか、自然と自らの死体が積み上がっていくことになります。
それでも、しっかりと「戦死」と書かれたゲームオーバー画面には「最新のチェックポイントをロードする」とあるため、敵を倒した後で適度な移動をすることで「チェックポイント」を通過することができ、ダメダメなプレイをしていてもそれなりにステップを踏むことが確認できました。
ただ皆殺しのようなプレイをしつつ、何度も殺されるような事態を繰り返しているうちに、偶然にも契約を履行することができたっぽいです。
そして、プレイ開始から2時間半で、データをアップデートして、ミッション報告の「2.クライアントのスパイ発見せよ」を達成することができました。
ひたすら突き進んで7時間経過
契約に基づくミッションはあと4つ残っています。マップを見てもどこに行けば何が達成できるのかあまりよくわからないため、とりあえず適当にぶらぶらしていると、いかにも人が通れそうな穴を発見しました。
マップを見ると、この先にはミッションに関わる何かがあるようです。
しゃがんで穴をくぐると2人の兵士を発見。素早く攻撃すれば2人とも対応できそうです。
しかし、この地域に2人以外に人がいないとも限らないため、見回してみると、更に1人見つけることができたので、すかさず狙撃してみるも……。
金網が意外な強敵として立ちはだかりました。敵にバレなかったのが救いです。ということは、こっちを攻撃しても……。
運悪く、こちらも弾丸が金網に当たってしまってピンチを迎えてしまいます。やむを得ず、スナイパーらしからぬ堂々の侵入を企て、正面から近接攻撃を試みます。
更に、堂々と銃弾を撃ちまくり……こんな作戦もたまにはいいですよね?
何やら怪しい装置があるので調べてみると、スマホを介して、監視カメラで敵の位置を把握することができます。
このカメラでもマーキングができるので、一通り敵の兵士を見つけておきましょう。今のところ、このカメラの先がどこかはよくわからなかったりするのですが……。
次の建物に向かい、マップを見てみると、敵の位置がしっかりと表示されています。
そして、何も考えずに射殺し続けていると……。
どうやら目的を達成してしまったようです。
そういえば、先ほど皆殺しにしてしまった施設では、脱出行為を行っていなかったな、と思って施設に戻って目的を達成し、その後はミッションの内容をよくよく確認しながら施設に潜入することで、無事全てのミッションを達成し終えると約7時間が経過しました。
プロの自覚が芽生え10時間経過
続いて、「コルチャックハーバー」がアンロックされました。
今回もメインとなる契約ミッションは5つ存在します。
先ほどのミッションでお金を稼いでいるので、諸々の開発を行っていきます。現在品薄のマスクだって、しっかり開発することができます。
今回の契約事項は、電子日誌のハッキング、レオニド・ニズレブの殲滅、原子力砕氷船の破壊、イゴール・セーホフの始末、スマートフォンの獲得といったところ。
「アルタイ山脈」は、吹雪の中を突き進むことから、あまり遠くから狙撃をするチャンスがなかったのですが、「コルチャックハーバー」はスタート地点からいきなり狙撃ポイントがあるため、本来のプロの仕事ができそうです。
この辺りも、高みから兵士の位置関係を把握して戦うことができます。
こちらも、かなり景観がいいです。
高い建物があるため、迂闊な行動をとると、すぐに見つかってしまう怖さがあります。
あの船が目的の船でしょうか。
と色々な場所を駆け巡って果敢に戦ってみるも、契約内容を履行しきれないまま、10時間が経過してしまいました。
そして、まとまらないまとめ
今回のプレイでは、プレイヤー側で使用できるガジェット関係はあまり活用していないのですが、そもそものマスクの活用自体に未来を感じ、敵のドローンに気付かれると一気に形成が不利になるなど、ガジェットを活用した戦いにもプレイの幅が広がる予感がありました。
一番簡単な難易度でプレイしているため、敵に気づかれにくい特典があったのですが、それでも自分が遠くにいる敵を撃つ際には、風や重力などを考慮して照準を合わせなくてはならないため、ターゲットに命中した時にはかなり達成感を得ることができました。
スナイパーゆえに、キルショットが決まった時のスローモーション演出が本当に気持ちいいです。
「CERO Z」とはいえ、ここまでしっかりと表現されているのは潔いです。
「アルタイ山脈」を始めた時には、普通のファーストパーソンシューターっぽいプレイになってしまうのかと思ってしまっていたのですが、中盤以降になると、高台から狙撃して敵兵たちを狼狽させ、高速で移動して別の場所からとどめを刺すような、頭と行動力を使ったプレイができるようになり、プレイの幅の広さを感じることができました。
スナイパーはいつも単独行動ゆえに、オンラインプレイ全盛のこの時代でもシングルプレイをメインで遊びたい人にとって、「スナイパーゴーストウォリアーコントラクト」は脱出してもまた入りたくなる遊び甲斐のあるテーマパークとなりえる事でしょう。
ぜひ、シベリアランドの年間契約(コントラクト)を組んで、遊びつくしましょう。
プロフィール
酒缶(さけかん)/ゲームコレクター
15000種類以上のゲームソフトを所有するゲームコレクターをしつつ、フリーの立場でゲームの開発やライターなど、いろいろやりながらゲーム業界内にこっそり生息中。
「東京エンカウント弐」にゲームアドバイザーとして協力。関わったゲームソフトは3DSダウンロードソフトウェア「ダンジョンRPG ピクダン2」「謎解きメイズからの脱出」など多数。価格コムでは、ゲームソフトのプロフェッショナルレビュアーを担当している。
■公式サイト「酒缶のゲーム通信」
http://www.sakekan.com/
■twitterアカウント
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■ブログ「パッケージゲームを死ぬまで遊ぶログ(略称:パケログ)」
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■YouTubeチャンネル「SAKEKAN GAME Re:COLLECTION」
https://www.youtube.com/user/sakekangame/
■電子書籍『パケヤロウ!123【い】』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B0852GKBS1/
■電子書籍『ゲームコレクター・酒缶の時事問題にはゲームを 令和二年 ゆくゴーンくるコロナ』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B084TX72NG/
■電子書籍『ゲームコレクター・酒缶のレイド・オン・ナンバリングベイ 20世紀に活躍したシリーズをパッケージや取扱説明書から読み解く』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B083G12L1W/
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April 03, 2020 at 02:57AM
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