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Thursday, April 7, 2022

アートフェアで目についた「セラミック作品」 新しい“何か”を求め表現する方向に変化 - SankeiBiz

先週、ミラノで毎年開催されるアートフェアを訪れた。昨年と比べて人出が多く、ギャラリーも対応で多忙な様子がうかがえる。また、アートフェアが業界人とコレクターの商談の場だけでなく、アート好きにとってのお祭りのような存在になっているのが分かる。

2020年のアート市場はおよそ5兆5千億円(110円/ドル)だった(スイスのバーゼルで開催するアートフェア、アートバーゼルとその公式スポンサー、スイスの銀行UBSの発行している2021年版アート市場レポートによる)。

パンデミック以前の2019年は7兆円を超えていた。ただ、2000年代の10年の伸びと比べると、2010年代は比較的横ばいだ。そのなかで現代アートが主流をしめる。

印象派以前の作品は、公的美術館やトップコレクターなど、おさまるところにおさまり、既に売買の対象にならない。オークションハウスが古典を売りに出すが、それは流通する作品のごく一部に過ぎない。

流通する作品は、有名な現代アーティストの高額作品で金額データの多くを占め、中堅や若手のさほど価格の高くない作品が扱い件数の多くを占める。このあたりの事情は、最近上梓した『新・ラグジュアリー 文化が生み出す経済 10の講義』で書いた。

さて、ミラノのアートフェアで目についたのは、セラミック作品が増えていることだ。セラミック作品を専門とするギャラリーの数が増えたのではない。絵画や写真、またはインスタレーションを主に扱うギャラリーのブースにセラミック作品も並んでいるのだ。

この数年間、セラミックの世界に興味をもってきた。工芸とされるセラミック作品に日本でつく値段が、欧州では高すぎる。茶道で使う器は茶道を知るからこそ高価格で取引される。

茶の器は西洋アート文脈にのらないから、通常のアートギャラリーは扱わない。数少ない東洋美術専門のギャラリーやショップに陳列するのである。

そして、茶道文化がない欧州では通常の日用品に色がついた程度の価格設定にならざるをえない。用を足すものの値段は高くなりにくいのだ。

セラミック素材で作られたものでも高価格の作品がある。アート文脈に入れたもので、見るからに用を足さない作品は高額になりやすい。当然ながら用を足さないから高いのはなく、アート史に貢献するとみられるから高いのだ。

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