- RMは2018年頃から、韓国のアーティストを中心に近現代アートを幅広く収集。
- インフルエンサーとしての発信力、寄付などの支援がアート界に評価されている。
- 将来的には韓国に展示スペースの開設を希望。
BTS のリーダーとして K-POP を率いている RM は、近年アートコレクターとしても注目を集めている。最近でも9月の来日に際して、東京国立近代美術館で開催されていたゲルハルト・リヒター展に足を運ぶなど、積極的にアートを楽しむ様子が知られている。
RM はどのような考えのもと、アートをコレクションしているのだろうか? そして、RM の活動がアート界で注目されるのはなぜだろうか?
アートコレクターとしてのRM
RMは、この数年で良質なアートコレクションを築き、コレクターとして認知され始めている。
今ではアートファンとして知られているが、幼少期からアートに強い関心を持っていたわけではないようだ。まずは、RM がアートに興味を引かれたきっかけから見ていこう。
アートへの情熱
RM が積極的に美術館やギャラリーを訪問するようになったのは、2018年のことだ。ワールドツアーでアメリカに滞在中、オフタイムにシカゴ美術館を訪問。クロード・モネやジョルジュ・スーラなど、19世紀フランスの印象派絵画に魅了されたという。
それからというもの、機会があるたびに国内外の美術館に足を運んだ。ニューヨークのメトロポリタン美術館やグッゲンハイム美術館といった主要美術館だけでなく、テキサス州の砂漠に位置する Chinati Foundation などアクセスしづらい場所や、栃木・那須塩原にある奈良美智の N’s YARD のような私設スペースにも訪れている。
さらに、自ら作品を購入し、展示販売を目的とするアートフェアにも参加するようになり、単なるアートファンではなくアートコレクターと見なされるようになった。
今年6月には、スイスの都市バーゼルで毎年開催される世界最大級の現代アートフェア Art Barsel を訪問。Art Barsel 公式ポッドキャストにも出演し、Art Barsel グローバルディレクターのマーク・スピーグラー氏を相手に、アートへの想いを語っている。
RMのコレクション内容
RM のコレクションは近現代の韓国人アーティストの作品から始まった。韓国人アーティストに注目したのは、「韓国人のミュージシャンはたくさん知っているのに、韓国人の画家はひとりも知らない」ということに気づいたからだという。国内の美術館やギャラリーを巡り、インスピレーションを与えてくれるアーティストを探した。
李大源(イ・テウォン)
コレクション第1号となったのは、韓国の画家李大源(1921-2005)による、山を描いたペインティング。自然の風景を細かい点で描く李大源のスタイルは、RM が感動したジョルジュ・スーラの点描に通じるものがある。
RM は、この作品(*1)を購入した理由について「オークションで作品を見て、ただ気に入ったから」と語る。この作品を壁に飾った時、スピリチュアルな感覚をおぼえたことが、アートコレクションを始めるきかっけとなった。
(*1)1995年作の《無題》という作品で、以前RMのInstagramで紹介された(現在は公開されていない)。下は李大源の遺族が運営するアカウントに公開されている別作品。
尹亨根(ユン・ヒョングン)
自宅リビングやデスク前に飾られているのは、尹亨根(1928-2007)の作品。木や土を思わせる色でキャンバスを覆い尽くす抽象画家だ。日本では三重県立美術館や福岡アジア美術館に所蔵されているほか、東京オペラシティ アートギャラリー(2017年「単色のリズム 韓国の抽象」)などで紹介された。
RMは「自分自身の人間性のために努力すべきだ」という画家の信念に共鳴し、「彼の教えを胸に留めておくことで、より良い人間になれると信じている」という。今年12月に発売されたソロアルバム『Indigo』の1曲目には、尹亨根へのオマージュ曲『Yun』が収録されている。
李英培(リー・ベー)
「炭のアーティスト」として知られる李英培(1956-)の絵画も、Instagram に登場している。
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